第1回 バイクに乗りたい
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「バイクに乗りたい」 と急に思い立ったのは、大学4年の春 まさに就職戦線真っ只中のことでした。 よりによってそんなややこしい時期に、とお思いでしょうが 自分でもまったくそう思います。 しかしわざわざそんな時期になってしまったのにも 理由がないことはないのでありまして その辺りからぼちぼちと書いていくことにしましょう。 だいたい、就職というのは人生における大転換点です。 A社に行くのかB社に行くのかということによって これからの人生は全然違ってくるわけですからね。 まあ終身雇用が崩れてきた時代ですから 生涯にわたってその会社で働くというようなことはないかもしれませんが、 それでも何年か何十年かはその会社に関わって生きることになるのだし もう、その選ぶ時点で今後の人生が大きく振られてしまうということが ある程度の確かさで言えるわけです。 まあ、ガッツ(と軍資金)さえあれば 状況なんていくらでも変えていけるということも言えるんでしょうけども、 それにだって限度があるだろうし なにより、そういうふうにポンポン状況を変えていくということは 経験やら知識やらの積み重ねをどんどん壊していく作業なわけですから そんなに頻繁にするのはよくない。 やるにしても、ひとつ所である程度の知識・経験を修得してから それを次のステップに生かす、というぐらいのゆとりを持ってやるべきで 「とにかく、今は、ここで頑張る」というスタンスは いつの時代でも大切なことなのだと思います。 そういうわけで、やはり就職活動というのは これからの人生の方向を決める重大行事だと言えるし 就職活動の時期というのはある意味 これから自分はどういうふうに生きていくのかという、つまりは生き方を 大まかにでも考えて決めていく時期なのだと思います。 それで私も考えました。 で、考えたこと。 「身軽に生きたい」 でも 「根無し草にはなりたくない」 …… スゲェ単純ですが 要は、ある程度どっしり構えつつも身軽なステップは保ちたい、という 少年の夢なのです。 この「身軽に生きたい」というのは もしかしたら実際に自分の問題として感じている人もいるかもしれませんが しかし、あまり「身軽」な方に重心をかけすぎると 今度は逆に落ち着いた生活からどんどん遠ざかってしまうので それはそれで不幸になってしまう。 だからある程度のところには踏みとどまりたいと まあそういうことなのです。 現実はなかなかそううまくいくとは思いませんが 一応理想の状態としてそういう状態をまず想定しました。 それで、そこから先ですが 「踏みとどまる」のは簡単だと思うんです。 ある程度の流れに乗ってしまえば 後は何もしなくてもいいわけですから。 (その流れに乗るのが大変だっていうのはありますけど) 思えば私も二十数年間、親元から離れて暮らしたことがないという 踏みとどまりっぱなしの人生でここまで来たわけですが それに比べて「身軽に生きる」という方は とにもかくにもガッツとエネルギー(とお金)がいる。 だから今のうちに「身軽に生きる」ことの訓練と準備をしておこうと そういうことを考えたのでした。 ところで「身軽に生きる」と一口に言っても アプローチの仕方は色々あると思います。 例えば「物を持たない」ということもひとつの方法です。 生活をシンプルにする、と言い換えてもいいと思いますけども。 それから、自分で何でもできるようになっておく。 あと、自分のあらゆる能力を高めておく。 そういうような色々なアプローチの仕方があって それでまあそういう状況の中でやってきて 最近ちょっと気になり始めていたことがあったのでした。 それは何かといいますと ここからやっとバイクの話になるのですけども 最近ちょっと機動力の限界を感じつつあったのです。 これまで長らくチャリンコを相棒としてきた私でしたが チャリンコでは、やはり行動範囲が限られています。 少なくとも一日で何百キロとかいうのは無理ですよね。 漕ぐのがしんどいとかいう話ではなくて なんぼ必死に漕いだかて、チャリンコは遅いのですよ。 途中、ママチャリからマウンテンバイクへというランクアップはあったものの、 やはりチャリンコはチャリンコ以上にはなり得ないのです。 これはどうしようもない。 でも、「身軽に生きる」ためには「機動力がある」ことはかなり重要な要素なわけで 「これはいかん」ということに急遽なってきたわけです。 そこで初めて、二十数年生きてきて初めて思ったのです、 「バイクに乗りたい」と。 まあそういうわけで、 就職活動中のややこしい時期にバイクに興味を持ってしまったのは ある程度必然のことでもあったわけです。 しかしやはりそんな時期に興味を持ってしまうと やはりややこしいことにならざるを得ないのです。 まあ、そのあたりのややこしさ加減のことは おいおい書いて行くことにしましょう。 |